理事長挨拶ロゴ

理事長gazou
中小企業退職金共済制度、お陰様でこの7月に60周年を迎えることが出来ました。
このような長きに亘り制度を続けてくることが出来ましたのは、ご利用頂きました共済契約者、被共済者の皆様、事業推進にご協力を賜りました関係団体の皆様、ご協力とご指導を賜りました厚生労働省をはじめ関係諸官庁の皆様など、当制度の意義をご理解頂きました本当に多くの方々からご配慮とご助力を頂きましたお陰と感謝しております。
改めて心から御礼申し上げます。
中退共制度は、高度成長期前期の昭和34年に産声を上げましたが、昭和、平成、令和の3つの時代を跨ぎ、高度成長期に石油ショック、円高不況、平成バブル、バブル崩壊後の失われた20年など社会情勢が大きく変転する中、日本経済と共に歩んできた制度と言えるかと思います。
この間、社会情勢だけでなく、社会構造も、中小企業を巡る環境も大きく変わりました。昭和の時代の経済成長と共に増加してきた中小企業数は、1990年代、平成の時代に入り減少に転じたほか、産業構造も、労働市場の構造や雇用慣行も大きく変わりつつあります。
しかし、中小企業における退職金制度導入のお手伝いをさせて頂くことを通じ、中小企業の従業員の方々の福祉の増進と中小企業の振興に寄与する、という当制度の目的の意義は引続き大きく、むしろ、より重要性を増しているのではないかと考えています。
人生100年時代と言われ、一方で世界的な金利低迷が続く中、老後の資金計画における退職金の貴重さ、重要性は、従来以上に高まっているものと思われますし、そうであれば、退職金制度は、中小企業における人材獲得の要件としての重みを増していると考えられるからです。
したがって、私共としては、中退共制度を80年、100年と続けて行きたいと考えております。
組織や制度を長期に亘って持続可能なものにするには、変えるべきは変え、変えてはいけないことは変えない、ということが要諦だと考えていますが、中退共制度で言えば、変えてはいけないことは、資産と個人情報の安全・安心の確保であり、事務の堅実・確実な遂行です。
一方、金融市場や社会の構造の大きな変化、具体的には国際化や情報技術革新の進展、あるいはサイバー攻撃の横行などの環境変化の下で、安心・安全や確実性を守っていくためには、資産運用の在り方や情報管理の方法、システムなどを変えていく必要があります。
そこで、私共は、以下のような取組みを進めています。
まず資産運用面では、効率性向上のために運用受託機関の見直しを進めているほか、公的機関のアセットオーナーとして、スチュワードシップ活動への積極的な取り組みを開始しました。
スチュワードシップ活動は、投資先企業ひいては株式市場及び経済の持続性向上に寄与し、究極的には国民の資産増加に繋がることを目指すものです。
目標を実現するには、継続的かつ関連業界全体での取り組みが必要であり、今後、工夫を凝らし多方面に働き掛けながら、粘り強く取組んでいく所存です。当機構は厚生労働省管下の独立行政法人ですので、特に社会的な側面(労働環境やダイバーシティ等)に注目・注力して参ります。こうした取組みは、中小企業従業員の福祉の向上という制度の目的にも適うものと考えています。
情報セキュリティ関連では、悪質さ、狡猾さを増しているサイバー攻撃からお客様の個人情報と業務遂行機能を守るため、常在戦場の心構えで、ハード、ソフト及び役職員のITリテラシーの強化に不断に取組みます。
業務の円滑かつ確実な執行という面では、情報システム導入以来、初めてとなる基幹業務システムの抜本的再構築に取り組んでいます。当機構としては、未だ嘗て無い大プロジェクトですが、円滑で確実な制度運営を続けるには避けて通れない作業であり、役職員一丸となって取組んで参ります。
このように、人間で言えば還暦を迎えた中退共制度ですが、制度の一段の改善・発展を目指し、益々元気に制度運営に取組んで参りますので、引き続きのご愛顧とご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、共済契約者及び被共済者並びに関係諸機関の皆様の益々のご発展、ご健勝を祈念致しまして、御礼と決意の言葉とさせて頂きます。
令和元年7月吉日

独立行政法人勤労者退職金共済機構理事長
水野 正望